Artwork Guide No.001

セント・ガブリエル礼拝堂

救世主イエスとしての権威

1895年 ドイツ

救世主イエスとしての権威

作品解説

弟子たちや母マリアに見守られながら、キリストが天使と共に神のもとへ再び戻っていく昇天の場面です。

キリストが昇天したことで、はじめてキリスト自身が持っていた権威(=家族や弟子、天界、神からの愛や人望)が明らかになりました。つまりは、キリストの昇天を描くことによって、明らかになったキリストの救世主としての権威を伝えてくれています。

イギリス英国国教会(カトリックや正教会が中心)では、マリア信仰があり、この作品にも、裏切り者のユダをのぞいた11人の弟子の中に、聖母マリアが描かれています。なぜ聖母マリアかというと、聖母マリアが12使徒(12人のキリストの弟子たち)を超える唯一の存在であるからです。

周囲に描かれているツルは、エッサイの根と呼ばれる系譜図になります。エッサイ王の子であるイスラエルの王ダビデとキリストが血縁関係にあるということを示しています。

また、天使の足元にある貝殻のような縁取りは、弟子であるヨハネとヤコブが漁師であったことに由来して描かれていると考えられます。

登場人物・モチーフ

イエス・キリスト

精霊の力によりマリアのおなかに宿ったイエス。イスラエルの王ダビデの血統から誕生したメシア(救世主)とされています。

聖母マリア

聖霊の力によってキリストを身ごもったイエス・キリストの母。赤い衣服に青いベールを身につけた姿で描かれることが多いです。

11人の弟子

本来は12使徒ですが、ここには裏切り者のユダの姿はないため、ユダを除いた11名が描かれています。

ヤコブとヨハネ

もともとは漁師をしていた兄弟。短気な性格であったことから、キリストから“雷の子ら”という愛称でよばれていました。

ペトロ

キリストから天と地のカギをそれぞれ受け取ったとされる人物。そのため、ペトロの手には2つのカギが描かれています。12使徒の中でもリーダー的存在であり、行動力に優れた弟子だったようです。

エッサイの根

エッサイ(ダビデ王の父)の家系から、キリスト(救世主)が誕生したことを表すため、エッサイからなる系譜図を根に見立てて描いています。